研究概要 |
イギリスのエクセター大学を中心とする「算数教育における達成度に関する国際的な継続的プロジェクト」(IPMA)に参加し,日本の児童に対して使用可能な達成度調査問題(開発完了)を用いて,第1児童集団に対してはTEST6まで,第2児童集団に対してはTEST5までの調査実施を完了した。これらのデータ整理及び分析を行い,中学年段階における達成度の実態及びその特徴を明らかにした。これについては,全国数学教育学会誌第10巻に学術論文として掲載された。また,これを受けて,中学年段階での達成度の伸びが芳しくない問題群に対して誤答分析を行い,「典型的誤答」の存在を明らかにするとともに,本研究の継続性を生かして,「典型的誤答」を示した児童の1年前と1年後の実態を含めて分析し,その結果を日本数学教育学会数学教育論文発表会において発表したところである。 また,IPMAの中心的指導者であるエクセター大学のBurghes教授から昨年度のレビュー時に示唆された評価尺度(通称:value-added)を導入して,中学年段階での達成度の伸びを適切に評価するための方策を究明し,これについては全国数学教育学会での口頭発表によって提案したところである。さらに,平成16年7月には,スウェーデンのLundで開催されたIPMA会議に参加し,他国のデータを入手するとともに本科研の研究実績を報告した。 平成17年度は,第1児童集団に対して実施しているTEST6(小学校卒業直前の実態)と第2児童集団に対して実施中のTEST6(5年修了時の実態)のデータを含めて整理・分析し,算数科における児童の達成度を維持・向上させるための研究成果を国内の諸学会で発表するとともに,平成18年度の国際会議で論文発表するための準備を行う計画となっている。
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