研究概要 |
イギリスのエクセター大学を中心とする「算数教育における達成度に関する国際的な継続的プロジェクト」(IPMA)に参加し,日本の児童に対して使用可能な達成度調査問題を用いた調査研究(平成17年度に実施完了)のデータ整理・情報収集及びそれらの分析を行い,高学年段階における達成度の実態及びその特徴を明らかにした。これについては,全国数学教育学会誌第12巻に学術論文として掲載された。さらに,昨年度に本科研のレビューを受けた際,達成度データの比較・検討等を行ったシンガポールとの比較教育的考察に取り組むとともに,日本の児童の算数達成度に関する総合的な考察を行った。これについては,全国数学教育学会において口頭発表するとともに,全国数学教育学会誌第13巻に学術論文として掲載される予定となっている。 本研究を通じて,「小学校中・高学年から,学習した学年における達成度の伸びが鈍化する」傾向が生じ,「基礎的問題に比して応用的問題の達成度に差が生じやすい」こと等が明らかとなった。算数科における児童の達成度を維持・向上させるための指導内容や指導方法等の改善に対しては,小学校中・高学年にかけて,「数学的な見方・考え方」を言葉や数式を駆使して表現するという学習指導を充実させたり,教科書で扱われている典型的な問い方ではなく,やや応用的な問い方によって設定されている問題解決を充実させたりすること等が示唆された。こうした指導内容や指導方法等の改善を算数教育現場に浸透させていくために,今後は,本研究によって明らかになった授業改善の方向性をできるだけ具体化して示すための教師教育教材を開発していくことに取り組んでいく予定である。 なお,本研究の成果等をまとめて,報告書を作成した。
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