小学校修了後の漢字の習得状況と漢字学習の実態について、中学1年生に対して、次のことを調査した。 (1)40年前に文化庁が行った漢字調査(1964-67)と比較し、漢字習得率を調査し、この40年間の変化を明らかにした。 (2)自由記述によって、記述した文字数や文章内で漢字を正しく使用する能力を調査し、漢字を用いて記述する力を明らかにした。 (3)小・中学生によく読まれているコミック誌・雑誌・ゲームソフトなどによく用いられている配当漢字外の漢字の読みの習得率を調べ、学校外のメディアからどのような漢字を学んでいるかを明らかにした。 (4)学習や読書、テレビやゲームとの関わりの実態を調べ、漢宇習得率との相関を調べ、どういう学習体験や生活体験が漢字の習得に影響するかを明らかにした。 調査時期は、2004年9月〜12月、調査時間は、漢字調査(40分程度)、質問紙調査(10分程度)である。本抽出法は、全国各都道府県教育委員会・教育センター・研究所等に各1校の推薦を依頼した。その結果、29都道府県から29校の推薦を受け調査対象校として承諾された。 全標本は、学校数:29校、学級数99学級、生徒数3018人である。 主な調査結果は次の通りである。 ○今回調査でも文化庁調査でも、共通して配当されている学習漢字の正答率を見ると、「読み」が8ポイント上昇した。 ○今回調査でも文化庁調査でも、共通して配当外の非学習漢字の正答率を見ると、「書き」は11ポイント、「読み」は27ポイント上昇した。 ○書きの正答率が上昇したのは、例えば、「環境」の「環」が56ポイントである。 ○書きの正答率が低下したのは、例えば、「帳面」の「帳」が65ポイントである。 ○読みの正答率が上昇したのは、例えば、「携帯」の「携」が95ポイントである。 ○読みの正答率が低下したのは、例えば、「謄写版」の「謄」が21ポイントである。
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