全国の大学・短期大学・高等専門学校等(以下、大学等)のうち、過去5年間に障害のある学生から相談を受けた大学等は約20%であった。近年は、視覚障害・聴覚障害・身体障害等に加え、LD・ADHD・高機能自閉症等の発達障害のある学生(発達障害が疑われる学生も含む。以下、発達障害学生)からの相談が増えてきている。しかし、発達障害学生のなかで、医師の診断を受けているものは20%に満たない。 発達障害学生の課題としては、対人関係でのトラブル、学業上の困難、情緒面での問題、就労の困難等、大学生活全般にわたっている。大学内の関係者の理解啓発として、教職員との連携及びコンサルテーション、他の部局との連携、教職員や学生に対する理解啓発等が行われている。大学外の関係者との連携・協力としては、保護者との相談、精神科等医療機関との連携、外部専門機関との連携等が行われている。 学生相談室等での面接・カウンセリングの内容としては、対人関係・社会的スキルに関するアドバイス・指導、情緒・心理面を支えるためのカウンセリング、本人の自己理解・障害理解を促すためのカウンセリング、科目履修のアドバイス等が行われている。学業に関する支援を行っている大学等は少ないが、講義内容のコピーを提供する、授業・試験中の指示を文章化する、パソコンによるノート筆記を認める等の支援が行われている。中には、レポートの提出期限を延長する、レポートの書き方について指導する、別室での試験を認める等の支援を行っている大学等もある。また、進路・就労に関する支援としては、面接等試験に関する事前対策・準備、インターンシップ等を通した職業適性へのアドバイス、障害者職業センター等との連携等が行われている。 今後の課題として、大学内の教職員との連携・協力、周囲の学生との人間関係の調整、障害に関する保護者の理解の向上等があげられる。
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