研究分担者 |
藤原 一宏 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (00229064)
岡本 和夫 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (40011720)
向井 茂 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (80115641)
野海 正俊 神戸大学, 理学部, 教授 (80164672)
岡田 聡一 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 助教授 (20224016)
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研究概要 |
GaloisとAbelの豊かな思想を微分方程式に応用しようとしたのはS.Lieである.19世紀の半ばのことである.微分方程式のガロア理論の難しいところは本質的に無限次元の理論であることと,微分方程式の持つ対称性が隠れていて見えにくいところである.それ以来,提出された理論は,20世紀の半ばまでに限れば,Picard-Vessiot理論,Drach理論,Vessiot理論,Kolchin理論がある.これらの内,Drach理論,Vessiot理論は無限次元の理論であり最も重要である.これらの無限次元の理論は20世紀初頭まで盛んに研究されたが,問題が難しいことが原因で,放棄されついには忘れられてしまった. これらの理論をよく理解するために我々が1996年に新しい理論を提案したのにはじまり,2001年にはMalgrange理論が提唱された.さらに近年Pillay, Singer理論が加わった.これらの理論の相互の関係を明らかにし,できるならば統一することを研究してきた.Pillay理論とSinger理論はMalgrange理論にも我々の理論にも含まれることを示した.さてMalgrangeと我々の理論との関係であるが,前者は解析空間上の葉層のガロア理論であり,我々の理論は微分体の拡大のガロア理論である.両者は完全に一致するものと考えていたがそうではないことが判明した.その違いは,たとえば微分方程式dy/dx=yを考察すれば解る.しかしながら,両者は本質的に同値であり,Groupoidを使って我々の理論を書き直すことにより両者の関係が明確になると予想される. さらに差分方程式の一般ガロア理論が完成にさらに近づいた.この理論と離散力学系および第6Painleve方程式のholonomyへの応用は重要な課題であると認識した.
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