研究分担者 |
加藤 和也 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111450)
齋藤 秀司 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50153804)
中村 郁 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50022687)
今野 一宏 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10186869)
森 重文 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (00093328)
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研究概要 |
1970年代にグリフィスは,局所エルミート対称領域の自然な拡張として,偏極ホッジ構造の分類空間を導入した.局所エルミート対称領域にはマンフォードらによるのトロイダルコンパクト化がある.一方,偏極ホッジ構造の分類空間のコンパクト化は,多くの研究者の努力にも拘らず長年実現されずにいたが,加藤和也と臼井三平はログ・ホッジ構造の理論を確立し,そめ部分コンパクト化に成功したので,この成果を取りまとめた論文を2003年10月にPubl.Math.I.H.E.S.へ投稿した.これを踏まえて臼井は,森重文らによって確立された3次元極小モデル理論から得られる一般型代数曲面のモジュライ空間のコンパクト化から,上述のような偏極ホッジ構造の分類空間の部分コンパクト化への周期写像を考察した.特に,一般的には拡張された意味でのログ解析空間の構造しか持ち得ない部分コンパクト化が,実際の周期写像による像として得られる部分空間においては,モイシェゾン空間,代数スキーム等の良い空間構造を持ちうるか否かを研究した.研究分担者は,それぞれの役割分担に応じて研究計画を遂行し,高次元代数多様体のモジュライ空間のコンパクト化を目標とした極小モデル理論,より目的に適った部分コンパクト化を達成するためのログ幾何の整備を行ない,また,周期写像を具体的に調べるために代数的サイクル,一般型代数曲面,シンプレクティック多様体,ツイスター空間等の構造研究およびアーベル曲面・K3曲面の退化を研究した.研究の初年度であることを考慮し資料収集に力点を置いたため,まだ具体的な研究成果として結実していないものもあるが,幾何種数の小さな射影代数曲面が有する代数曲線束構造に関する一般論が整備されるなど,目に見える成果も得られつつある.
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