研究分担者 |
三宅 克哉 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20023632)
村上 順 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90157751)
小松 啓一 早稲田大学, 理工学部, 教授 (80092550)
福田 隆 日本大学, 生産工学部, 助教授 (00181272)
角皆 宏 上智大学, 理工学部, 専任講師 (20267412)
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研究概要 |
本研究の主要課題である,「ガロアの逆問題」の構成的側面の中心をなす「生成的」多項式族を具体的に構成することが,本研究の主要課題である.特にパラメータの個数を可能な限り最小にすること,および出来る限り係数のサイズが小さな多項式族を求めることが重要である. 今年度の研究成果として第一のものは,5次の可移な置換群Gとして実現される5個の有限群S_5,A_5,F_5,D_5,C_5に対して,2個(最小)のパラメータを持つ生成的多項式族を具体的に構成したことである(論文2).我々の得た多項式族は既に知られているものより遥かに簡潔な形をし,かつ統一的手法で構成が出来たという点で画期的と言える.すなわち,射影直線上の5点配置のなす空間M_{0.5}へのGの作用を考慮し,M_{0,5}の関数体のG-不変体の生成元を求めるやり方で,古典的不変式論の流れと,近年の幾何学的ガロア表現の手法を合わせた自然な構成で最良の結果が行られたことは意義深い.また,交代群A_5に対する我々の生成的多項式族の判別式はパラメータs,tの整係数既約多項式の平方式D(s,t)となっており,これから実際にs,tが整数でD(s,t)=pが素教となる場合は,判別式がpの2次体の不分岐なA_5拡大が得られる. 実際に判別式が1000未満の知られている全ての場合はこのようにして不分岐なA_5拡大が得られることが確認される.この事実をさらに大きな範囲で検証し,一般証明への手がかりを探ることは今後の興味深い課題である.以上の他に,ガロア群の表現とその整数論への応用に関連する諸問題を分担者の各々が研究し,記載の成果を挙げた.
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