研究分担者 |
稲場 道明 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助手 (80359934)
風間 英明 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10037252)
佐藤 榮一 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (10112278)
辻 元 上智大学, 理工学部, 教授 (30172000)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80116102)
|
研究概要 |
代数多様体上の直線束と部分多様体とのある交点理論に関する結果を得た.Xをn-次元複素代数多様体,Lをその上の正則直線束とする.Lのチャーン類c_1(L)にケーラー形式ωが存在する場合(つまりLがampleの場合)には,Xのωに関する体積は幾つかの異なる表示をもつ.例えばυ(X,ω)=c_1(L)^n(=L^n)=lim_<m→∞>(n!)/(m^n)h^0(X,mL)∈Nとなる.Xの部分多様体Yのωに関する体積も同様な表示がある.本研究ではLが必ずしもampleではない場合(しかしある種の正値性を仮定する)に上のような事柄を定式化した. 以下Lはbigであると仮定する,つまりυ(X, L):=<lim>^^^-_<m→∞>(n!)/(m^n)h^0(X,mL)>0とする.値υ(X, L)∈R_<>0>はXのLに関する体積と呼ばれている.h_0をLのその特異点が極小の特異エルミート計量とする.特に自然な射H^0(X,mL【cross product】τ(h^m_0))→H^0(X,mL)は同型となる(∀m>O).ここでτ(h^m_0)は乗数イデアル層である.まずはυ(X,L)=lim_<m→∞>(n!)/(m^n)h^0(X,mL【cross product】τ(h^m_0))となることを得た.ここでの主な主張は極限が存在することである.これをυ(X,L,h_0)とも書き(L,h_0)に関するXの体積を呼ぶ.同様にYがXのd-次元部分多様体のときυ(Y,L,h_0):= lim_<m→∞>(d!)/(m^d)h^0(Y,mL【cross product】τ(h^m_0)・O_Y)が意味をもち,Yの(L,h_0)に関する体積と呼ぶ.これはLがampleのときには,はじめのωに関する体積と一致する.以下のような直感的な定式化もできる.D_1,…,D_dを線形系|L|の一般の元として整数L^<[d]>・Y【greater than or equal】Oを以下で定める: L^<[d]>・Y=#(D_1∩・・・∩D_d∩(X-B_s|L|)∩Y).ここでB_s|L|は線形系|L|の固定点集合である.このような記号のもとでυ(Y,L,h_0)=lim_<m→∞>((mL)^<[d]>・Y)/(m^d).またΦ_<|mL|>:X--→P^<Nm>を線形系|mL|から定まる写像としたときυ(Y,L,h_0)= lim_<m→∞> 1/(m^d)degΦ_<|mL|>(Y)となる.
|