研究分担者 |
杉原 正顕 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80154483)
小藤 俊幸 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (30234793)
岡田 正巳 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00152314)
石井 克哉 名古屋大学, 情報連携基盤センター, 教授 (60134441)
前田 茂 徳島大学, 総合科学部, 教授 (20115934)
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研究概要 |
3ヵ年計画の初年度として,関連する研究の最近の進展状況について分担者を中心に調査するとともに,数値計算に必要なコンピュータ環境の整備を行った.研究実績では,保存性・安定性を保持する数値解法に関する研究で進展があった.Hamilton系のsymplectic構造を離散変数法においても保持するsymplectic Runge-Kutta公式の研究では,分担者・前田茂が日本応用数理学会年会(2003年9月)においてsurvey talkを行った.微分方程式の離散数値解綾においては,さまざまな原理が考えられるが,分担者・杉原正顕らはDE変換を用いたSturm-Liouville固有値問題の数値解読について理論構築と,数値実験を通してのその有効性の確認を行った.安定性解析においては固有値が重要な役割を果たすが,そのためには代数方程式の解や線形系の固有値の複素平面上の位置同定が必要となる.分担者・杉浦洋らは,解析関数の零点,線形系の固有値の精度保証付計算に関する研究を行った. 物理系の具体的な問題に対して保存的数値解法を構成し,系の性質を調べる研究裸題でも進展があった.分担者・岡田正巳らは,Burgers方程式、戸田連続極限方程式などの衝撃波を生じる空間一次元の発展方程式に対して,座標変換を用いた数値計算を実行し,有効性を検証した.さらにwaveletやspline関数を選点法的に用いて,非線形の偏微分方程式の数値解の近似計算に利用し,誤差評価も与えた.分担者・坂上貴之は極に固定された渦糸を持つ球面の上での非粘性非圧縮流の渦運動を数学・数値の両面から研究した。渦層の安定性と特異点の生成、長時間発展について調べ,極渦の大きさによって渦層の線形安定性が変化し,その結果特異点の生成や長時間発展後の解の渦巻き構造に変化が得られることを明らかにした. また研究代表者をふくむ執筆者によって,計算科学を数理科学・計算数理の立場から解説し,現今の科学技術計算の課題に答える単行書を刊行した.このように,第一年度として着実に成果を上げるとともに,次年度以降の発展の基礎を築く成果をえた.
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