研究分担者 |
清水 邦夫 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60110946)
柴田 里程 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (60089828)
太田 克弘 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (40213722)
三嶋 美和子 岐阜大学, 総合情報メディアセンター, 助教授 (00283284)
栗木 進二 大阪府立大学, 工学部, 助教授 (00167389)
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研究概要 |
DNA library screeningでは、数万におよぶ多の塩基列の中から,ある試験に対して陽性(positive)反応を示す塩基列を見出す試験がよく行なわれる.このテストの際に,実験回数を大きく削減するために個々のクローンを個別に調べるのではなくpoolと呼ばれるグループを作ってグループテストと呼ばれる実験手法を用いることがある.グループテストでは,その効率を高めるために多くのクローンの中から出来るだけ少ないプール数で目的のクローンを見出すことができる実験を計画することが重要である.このためにクローンの集合からプールと呼ばれる部分集合の族をうまく選ぶ組合せ論的アプローチが有効である.また,このようなテストでは,実験結果にfalse positive, false negativeなどの誤りが生じることは避けられない. 本研究では、実験結果に誤りがある場合について,効率の良いpooling designの組合せ論的特徴を見出し、その構成法を与えることおよび,各プールの実験結果に誤りがある場合にpositiveな塩基列を見出すためのアルゴリズムの開発が目的である. 本年度は,誤りがある実験結果からpositiveなcloneを正確にかつ高速に見出すアルゴリズムの開発に研究のターゲットを絞って研究を行ない,各poolの実験結果からpositiveなcloneを見出すための効率的なアルゴリズムを開発した.本アルゴリズムはLDPC(Low density parity code)と呼ばれる符号の誤り訂正アルゴリズムあるいはベイジアンネットワークと呼ばれるアルゴリズムの一種であり,従来のMCMC(Markov chain Monte Carlo)による判定アルゴリズムより100倍程度計算が速くなっている.本アルゴリズムは,実用に供するために慶應義塾大学から特許申請中である.また,実験回数を削減するための効率的なpooling designの組合せ論的構成法も見出した.
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