研究分担者 |
志賀 潔 岐阜大学, 工学部, 教授 (10022683)
小林 孝子 岐阜大学, 工学部, 助教授 (40252126)
関口 次郎 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (30117717)
行者 明彦 名古屋大学, 大学院・多元数理科学研究科, 教授 (50116026)
大島 利雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50011721)
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研究概要 |
前年に引き続いて,概均質ベクトル空間上の微分方程式の研究を続けた.今年度の注目すべき点は,双曲型の偏微分作用素に対して,singularityの伝播に関するホイヘンスの原理を確立し,それが成り立つこと例があることを計算して証明したことである.ホイヘンスの原理は,古くから波動方程式において成立する原理として研究されて来た.近代的な立場から見れば,これは基本解のsupportが,微分作用素から決まる錐よりも次元の下がった部分に集中していることから起こる.この微分作用素から決まる錐は,基本解のsupportの上限である.したがって,supportを明示的に計算することにより,ホイヘンスの原理が成立するかどうかがわかる.これが成立すると,波が非常に小さな部分にそって伝わることがわかる.これに対して,singularityに関するホイヘンスの原理とは,その類似である.この場合は,基本解のsingularity spectrumが問題になる.まず,基本解のsingularity spectrumの上限があるかが問題になるが,これは存在する.これをHormanderの集合と呼ぶことにする.そして,実際の基本解のsingularity spectrumを計算することができて,これがHormanderの集合より小さな部分に集中しておれば,このときsingularityの伝播に関するホイヘンスの原理が成立するということする.これが成立すると,波のsingularityが非常に小さな部分にそって伝わることがわかる.我々は,実際にこのsingularityの伝播に関するホイヘンスの原理が成立することを,概均質ベクトル空間上の不変微分作用素に関して確かめた.これらが,より広いクラスの微分作用素に対して成立するかどうかは興味深い問題である,
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