研究概要 |
本研究の目的は、Emden-Fowler型の非線形項をもつ高階常微分方程式に対する境界値問題の、解の存在性、解の一意性、解の零点の個数・分布等を調べることである。問題の設定としては、一般には特異なものとして理論を構築する。また、常微分方程式についての結果を念頭において、高階楕円型偏微分方程式の解(および、解の全体)についての詳しい情報を得ることを目標とする。 今年度、この研究によって得られた新しい結果、新しい知見は主として次の様なものである。 1.単独の4階準線形常微分方程式を半無限区間[a,+∞)において考察し、終局正値解が存在するための必要十分条件を積分条件の形で求めた。(論文は学術雑誌Nonlinear Anal.に掲載決定) 2.2-system 2階常微分方程式系および2-system 2階楕円型方程式系をそれぞれ半無限区間および外部領域で考察し、終局正値解の存在性・非存在性を論じた。(論文投稿中) 3.4-systemの1階常微分方程式系に対して振動理論を展開した。(論文投稿準備中) 4.優線形高階常微分方程式に対して、半無限区間[a,+∞)における特異固有値問題を考察し、可算固有値列の存在と、対応して、丁度n個の零点をもつ固有関数列の存在を示した。(論文投稿準備中) 5.重調和作用素を含む非線形4階楕円型方程式の解の存在と非存在について考察し、2階の方程式と類似した「内部問題と外部問題の双対性」を得た。(論文は学術雑誌Discrete and Continuous Dynamical Systems, Supplementに掲載)
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