研究概要 |
本研究の目的は、高階常微分方程式に対する境界値問題の、解の存在性、解の一意性、解の零点の個数・分布等を調べることである。また、常微分方程式についての結果を念頭において、高階楕円型偏微分方程式の解(および、解の全体)についての詳しい情報を得ることである。 この研究によって得られた新しい結果、新しい知見は主として次の様なものである。 1.4階あるいは任意偶数階単独準線形常微分方程式を半無限区間で考察し、正値解が存在するための必要十分条件を得た(Nonlinear Analysis 57(2004)253-263; Math.Nachr. 279(2006)198-216; Ann.Mat.Pura Appl., Ser.IV (to appear))。また、2-system2階常微分方程式系および2-system2階楕円型方程式系をそれぞれ半無限区間および外部領域で考察し、終局的正値解の存在性を論じた(Indiana Univ.Math.J. 55(2006)317-340)。 2.任意の非線形項をもつ退化楕円型方程式を外部領域で考察し、すべての解が振動的であるための必要十分条件を得た(論文投稿中)。また、退化楕円型方程式を柱状領域で考察し、正値解の非存在性を論じた(Discrete and Contin.Dyn.Syst., Supplement, 2005,376-385)。 3.Euclid空間の領域の特性関数を初期値とする熱方程式の初期値問題において、不変な等温面について考察した(Trans.Amer.Math.Soc. (to appear))。また、Euclid空間の有界領域において、退化拡散と領域の形の関係について考察した(Proc.Roy.Soc.Edinburgh, Sect.A (to appear))。 4.或る高階常微分方程式に対して半無限区間における特異固有値問題を考察し、丁度n個の零点をもつ固有関数列の存在を示した(論文投稿中)。 5.重調和作用素を含む非線形4階楕円型方程式の解の存在と非存在についての結果を得た。(Discrete and Contin.Dyn.Syst., Supplement, 2003,393-402)。
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