研究分担者 |
高木 泉 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40154744)
千原 浩之 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70273068)
栄 伸一郎 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30201362)
溝口 紀子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (00251570)
二宮 広和 熊谷大学, 理工学部, 助教授 (90251610)
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研究概要 |
非線形拡散系のダイナミクスは,爆発や凝集,遷移層など各種の特異性が発現するメカニズムとその数理構造の解明が理解の鍵となる.しかしながら,このような強い特異性が発現する場合には,従来の解析手法をそのまま適用するだけではなく,問題に応じた新たな手法の開発が必要である. 本研究は,これまでの研究の不備な点を補い,非線形拡散系に見られる数理構造を明らかにするとともに,新たな解析手法の構築を目指している.特に,安定な時空間構造生成のメカニズム,高次元パターンダイナミクス,3重結合を持つ界面ダイナミクスについての研究を進めている. 具体的な研究成果は以下のとおりである. (1)符号変化を伴う重みを持つ固有値問題に対し,重みに対するある種の制約条件のもとで,主要固有値を最小化する問題について研究を行った.これは空間的非一様性のある個体群ダイナミクスのモデル方程式のダイナミクスと密接な関係がある.ここでは,固有値を最小化する重みの特徴付けを行い,領域が一次元区間の場合についてこのような重み関数を具体的に決定した. (2)べき乗の形の非線形項を含む非線形熱方程式においては,球対称定常解が層を成すような状況のもとでは,非有界大域解が存在することが知られている.ここでは,初期値の空間無限大での振る舞いと非有界大域解の増大度との関係を決定した. (3)Fisher型の方程式においては,フロントと呼ばれる遷移層の振る舞いが解のダイナミクスを理解する鍵となる.この研究では,初期値の取り方によっては時間的にも空間的にもきわめて複雑な振る舞いをすることを示しとともに,一般的な初期値について特異極限下におけるフロントのダイナミクスを支配する方程式を導くことに成功した.
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