研究分担者 |
福本 康秀 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (30192727)
菱田 俊明 新潟大学, 自然科学系, 助教授 (60257243)
井口 達雄 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (20294879)
畑上 到 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (50218476)
小俣 正朗 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (20214223)
|
研究概要 |
宮川は非圧縮粘性流体の2次元及び3次元の流れの漸近挙動と回転対称性の関係について詳しく考察した. 特に2次元の全平面及び外部領域での流れについて,それぞれ最終的な結果を示すことができた. 3次元流については外部領域での流れを主に考察し,回転対称性と漸近挙動の関係について,先行する結果をさらに広い解のクラスにまで拡張することに成功した.現在論文を作成中である.また2次元粘性流を扱う手法を2次元非粘性流の外部問題にも適用し,定常流の中で物体に働く抗力がゼロになるための条件を対応する圧力場の遠方での挙動を用いて完全に記述した. 福本は,特定の対称性をもつ渦糸や渦輪の形状変化について,解析的及び位相的考察を行った.非局所誘導を考慮した渦糸や渦輪の位相変化につき,従来の漸近展開を精密化することにより,運動の安定性についての新しい知見を得ることができた. 菱田は3次元空間におかれた回転物体の周りの定常流について,無限遠方での解の挙動を研究し,静止あるいは等速度運動をする物体の周りの流れの挙動とは本質的に異なることを初めて厳密に証明した.その際に現れる新しい型の特異積分作用素について基本的な事実を確立し,それを適用して所要の結果を得た.現在論文を投稿中である. 井口は水面波のいわゆるKdV近似を詳しく考察し,水底が平らでない場合には第一近似として得られる方程式はKdV方程式そのものではなく,それの摂動形が現れることを示し,摂動の具体形も導いた.さらにこの摂動を受けたKdV方程式の解の漸近挙動をも明らかにした.これらの結果について現在論文を執筆中である. 畑上は平板の振動が流れの周波数特性に及ぼす影響を解析し,従来の近似方法を改良し,それを用いれば実際に流れの様相がより精密に記述できることを数値的に検証した. 小俣は,摩擦項を伴う波動方程式で記述される流れの自由境界問題を論じ,1次元の場合だけではあるが,大域解を得るのに必要ないわゆる弱解を厳密に定義し,その存在と一意性,及び解のなめらかさのデータ依存性について,将来の研究の基礎になる事実を確立した.論文は現在投稿中である.
|