研究分担者 |
稲生 啓行 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00362434)
谷口 雅彦 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50108974)
上田 哲生 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10127053)
木坂 正史 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助教授 (70244671)
宇敷 重廣 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (10093197)
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研究概要 |
今年度は数理解析研究所のプロジェクト「複素力学系」を通して,複素力学系に関する諸問題について概観を得ることを第1目標に,数多くの研究者と交流を行った.プロジェクトの一環として,数理解析研究所で研究集会「1次元複素力学系とその関連分野」(7月1日〜7月4日),「高次元複素力学系」(12月1日〜12月5日),「複素微分方程式の幾何学的研究」(1月19日〜1月23日),「複素力学系の総合的研究」(2月16日〜2月20日)を開催し,京都大学大学院理学研究科数学教室では,ミニ・ワークショップ「Topics in Complex Dynamics」(2月12日〜2月13日)を開催した.これらの研究集会に,本補助金からShaun Bullet(Queen Mary, University of London),Xavier Buff(Universite Paul Sabatier),Adam Epstein(University of Warwick),Michael McQuillan(University of Glasgow),Weixiao Shen(University of Warwick)の各氏を招聘し,複素力学系研究の最先端の結果について代表者,分担者や国内の研究者を交えて討論,共同研究を行う機会を得た. 個別の研究については,宍倉は,複素力学系の中立不動点に関連したくりこみ理論の研究を行った.以前は放物型不動点に関連した場合のみくりこみで不変な写像の族が知られていたが、それの摂動でも不変になる族が構成できた.線型化問題などへの応用が期待される.上田は,吸引的および半吸引的不動点を持つ複素2変数正則写像の吸引領域における標準化座標の構成に関する研究を行った.谷口は,ベル表現空間や構造有限な整関数の変形空間の構造を明らかにし、さらに関連する被覆構造や力学系的構造について研究した.辻井は,部分双曲的力学系の研究の環として、実数上のアフィン縮小写像と円周上のangle-multiplying mapの歪積に対するSBR測度の密度の滑らかさについて研究し、いくつかの結果を得た.稲生は,Yoccoz Puzzleを用いてくりこみ可能な多項式の極限がまたくりこみ可能となる十分条件を与えた. また,1次元複素力学系の放物型くりこみに関しては,ある種の写像が領域をどのようにうつすか,詳細に調べる必要が出てきたために,コンピュータによる数値実験を開始し,現在進行中である.
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