研究概要 |
本研究では可視光帯ではプローブできないz>8、の高赤方偏移宇宙にある銀河やクェーサーの近赤外線探査を行う。また、銀河間ガスの電離の様子を直接ライマンα輝線をプロープとして観測することも目標の一つとしている。本計画では、文部科学省国立天文台の「すばる望遠鏡」(アメリカ合衆国ハワイ州ハワイ島マウナケア山頂に設置されている口径8.2mの光学・赤外線望遠鏡)が世界に誇る広視野赤外線カメラ(MOIRCS)を主として使用する。MOIRCSの開発は順調に進み、平成16年9月に撮像モードの試験観測、平成17年1月,に分光モードの試験観測を成功させた。これにより、本研究課題の遂行の実現性が確認された。MOIRCS専用の近赤外線域における狭帯域干渉フィルターを新たに開発した。データ解析パイプラインの整備も進み、実用段階のレベルに達していることを確認した。MOIRCSによる近赤外線サーベイを実りあるものにするためには、可視光帯での準備観測が成否を握る。そのため、すばる望遠鏡の主焦点カメラSuprime-Camを用いた撮像サーベイをハッブル宇宙望遠鏡の観測したHDF領域とCOSMOS領域に対して遂行した。また、すばるディープフィールドの観測的研究を完了させ、赤方偏移z=6.6の銀河を9個発見した(世界記録の樹立に成功)。これらの研究成果は国際的にも高い評価を得ており、国際研究会での招待講演を3回行った。
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