研究分担者 |
中本 泰史 筑波大学, 数理物質科学研究科, 講師 (60261757)
佐藤 潤一 筑波大学, 計算科学研究センター, 研究機関研究員
西 亮一 新潟大学, 理学部, 助教授 (80252419)
中村 文隆 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (20291354)
須佐 元 立教大学, 理学部, 専任講師 (00323262)
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研究概要 |
宇宙第一世代天体形成と,これが放射する紫外線によって引き起こされる宇宙再電離,さらに紫外線輻射場中で銀河形成の問題について,取り組みを行った。第一世代天体形成に関しては,種族III星の誕生を,3次元階層格子流体計算によって調べ,多くのものが連星系として誕生する可能性を指摘した。これは,電離光子の放射源として重要な役割を果たす。宇宙再電離については,6次元輻射輸送計算によってACDM宇宙における非一様宇宙の再電離過程を計算し,WMAPで示唆される早期再電離に必要な紫外線強度とその進化を見積もった。その結果,赤方偏移20前後の時期に,赤方偏移5の宇宙と同程度の背景紫外線が必要であることがわかった。また,紫外線輻射場中で銀河形成の問題を,長特性線法輻射輸送計算とSPHを結合した数値計算コードによる輻射流体力学計算によって調べた。計算の結果,10^8M_【of sun】以下のゆらぎは,バリオン成分のほとんどが背景紫外線によって蒸発してしまい銀河にはなりえないことがわかった。一方で,10^<8-9>M_【of sun】のゆらぎは,背景紫外線の中にあっても,高密度ピークが自己遮蔽され,これによって星が誕生し,矮小銀河形成につながることがわかった。この結果は,天の川銀河の周りに存在する矮小銀河の数が,ACDM宇宙で予言される数よりも少なくなっているという問題に対して,解決の糸口を与えるものである。
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