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2006 年度 実績報告書

微視的理論による原子核の熱力学的性質の研究と宇宙核物理学ヘの応用

研究課題

研究課題/領域番号 15340070
研究機関千葉大学

研究代表者

中田 仁  千葉大学, 理学部, 助教授 (80221448)

キーワード核準位密度 / 殻模型モンテカルロ法 / 角運動量射影 / 有限温度BCS理論 / 粒子数射影 / 超流動・常流動相転移
研究概要

理論的立場から,原子核の熱力学的性質及びそれに関連したテーマについて研究を行い,次のような成果を得た。
1.^<162>Dyの核準位密度について,実験データを再検討すると共に,殻模型モンテカルロ法を用いた微視的立場から準位密度の計算を実行し,それらの比較を行った。計算においては,四重極集団運動及び対相関(慣性モーメント)に関連した有効相互作用の強度を調整し,^<162>Dyのような希土類領域の変形核についても広いエネルギー領域にわたって実験データを再現することに成功した。
2.殻模型モンテカルロ法において角運動量射影を行う,比較的簡便な方法を開発し,それを応用することにより核準位密度のスピン依存性を調べた。スピン依存性は慣性モーメントと関係していると考えられ,Fe-Ni領域の偶々核に対する計算結果は,低温で対相関によって顕著なスピン依存性が生じることを明らかにし,また高温での慣性モーメントの増加を示唆する。これは,対相関が弱まったためと解釈できる。奇核においてはこのような効果は見られず,対相関との関連を支持する。
3.カノニカル集団におけるBCS型理論を初めて定式化し,有限系での温度変化に伴う相転移,特に超流動・常流動相転移における保存則の役割を調べた。数値計算により,保存則を考慮に入れると,転移温度は高温側にシフトするものの,転移そのものは消失しないことが示唆された。また,この理論では,粒子数が奇数の場合,低温でFermiエネルギー近傍にgapを持たない粒子が自然に現れ,温度上昇に伴うこの粒子の振舞いについて,新たな知見が得られた。磁場等により時間反転対称性が破れた場合も同様で,低温では常流動相のdomainが現れ,温度上昇に伴い一旦超流動相にmergeした後に全系が転移することが分かった。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] New Bardeen-Cooper-Schrieffer-type theory at finite temperature with particle-number conservation2006

    • 著者名/発表者名
      H.Nakada, K.Tanabe
    • 雑誌名

      Physical Review C 74・6

      ページ: 061301(R)-1-5

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] BCS-type theory in canonical ensembles2006

    • 著者名/発表者名
      H.Nakada, K.Tanabe
    • 雑誌名

      International Journal of Modern Physics E 15・8

      ページ: 1761-1768

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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