研究課題
量子色力学(QCD)は低温・低密度ではカラーが閉じ込められ、カイラル対称性が自発的に破れた秩序相にあるが、温度や密度を高いと,カラーが開放されカイラル対称性が回復する相へと相転移を起こす。非摂動論的QCDの手法を用いてこの相転移の性質を明らかにするのがこの研究の目的である。今年度は、エキゾティックハドロンの構造と生成反応、通常のハドロンのエキゾティック成分の分析、その他、関連する研究を行った。主な成果を挙げると1.格子QCDによる負パリティのA励起状態の5クォーク成分とスペクトルの研究格子QCDを用いて、観測されている負パリティのバリオンのうち最も軽い、A(1405)(J=1/2)の5クォーク状態の数値シミュレーションを行った。結果として、カイラル外挿の不定性はあるものの、クェンチ近似の格子QCDでは、この状態は5クォークとしても3クォーク同様で、あまり低い質量を持たないことが明らかになった。2.QCD和則によるテトラクォーク、ペンタクォーク状態のスペクトルの研究QCD和則を用いた解析で、軽いスカラーメソンおよび負パリティのバリオンについて、それぞれテトラクォーク、あるいはペンタクォーク状態である可能性と、その2クォークあるいは3クォーク状態との混合の度合いを定量的にする手法に関して研究を進めた。その結果、演算子の規格化などの技術的問題を指摘、解決して、スカラーメソン状態が80%以上テトラクォーク状態であるとの結果を得た。3.ハドロンの相互作用の格子QCDおよびQCD和則による研究格子QCDをハドロン間相互作用に応用する試みが始まっている。その一端としてメソン・バリオン相互作用の研究を行った。QCD和則を用いて、メソン・バリオン結合定数を求める方法を提起し、これを求め、従来の現象論的ポテンシャル模型と比較した。
すべて 2007 2006
すべて 雑誌論文 (16件)
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