研究目的と実施計画に沿って、金沢では、高エネルギー研究所のSR8000共同利用計画及び理化学研究所の大型クラスター+SX7共同利用計画(共同研究員)、大阪大学核物理センター共同利用計画に採択され、以下の研究を実施した。 1)O(a)improved clover fermion作用でのfull QCDの計算機シミュレーションを継続して行った。特に有限温度系の研究を重点的に行った。今年度は、引き続き24^3x10の格子でのデータをとった。目的は、カイラル極限とともに、連続極限を決めるためである。われわれの作用は、O(a)improvedなので、連続極限を決めることができる。まだクォーク質量が重いので系統誤差が大きいが、転移温度のカイラルおよび連続極限の値を求めた。引き続き、多くのパラメーターでデータを集め、より正確な値を決定するように研究を続けている。モスクワのグループも別のパラメーターで同じ24^3x10の格子でデータをとっており、結果を両者で分析している。 2)理化学研究所のSX7ベクトル計算機でかなりの計算時間をもらえたので、精密実験としてQCDの閉じ込め機構に関して、双対マイスナー効果はゲージによらないかどうかの研究をはじめた。5000個の熱平衡の真空配位を用いて、格子での通常のモノポールが存在しないランダウゲージでも双対マイスナー効果が見られることがわかったので、引き続き双対マイスナー効果の特徴的な真空のパラメータを測定した。ゲージによらず対応1と2の境界付近であることがわかった。 3)ゲージ普遍な量で双対マイスナー効果が記述できないかを研究した。 4)現在、測定誤差を大幅に小さくできるmulti-level法を応用して、最大可換ゲージでない局所的な従来性質の悪いといわれた可換射影を用いて精密実験をしている。すでにこれまで見えていなかった可換成分のみで完全な弦定数が得られることがわかった。
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