研究概要 |
現在大阪大学では、^<48>Caの二重ベータ崩壊測定を目的としてフッ化カルシウム(CaF_2)シンチレータを用いたCANDLES III実験装置が建設中である。本研究では、この装置を暗黒物質探索(DMS)にも適用可能にすべく改良を目指している。本年行った研究は以下のとおりである。 1.シンチレーション光の伝播シミュレーション研究と個々の光電子増倍管の特性測定に基づいて、光電子増倍管関連の最適化を行った。性能の劣る光電子増倍管の置き換えと、最適化された配置を実現するための増倍管支持機構の設計・製作を行った。 2.最終的なバックグラウンド源であるシンチレータ内部の放射性不純物を低減するため、原料・製法の違いによる不純物濃度の変化を調べた。その結果に基づき、シンチレーション結晶の追加購入を行った。 3.昨年度に引き続き、シンチレータの消光係数の測定を行った。今年度はより実態に近い低エネルギー(数十から百keV)領域における原子核反跳信号を測定すべく、大阪大学大学院工学研究科のOKTAVIANからの中性子ビームを用いて実験を行った。比較のため、数種のシンチレータを用意し測定を行った。現在、結果の取り纏め中である。 4.上記3.において、シンチレータの種類による変化の原因を探る研究を行った。加速器や線源などを利用して、異なる放射線(γ,p, Li)をシンチレータに照射しその発光波長スペクトルを測定した。その結果、CaF_2シンチレータは2種の波長成分を持ち、照射粒子の種類によってその強度比が変化することがわかった。今後この結果を粒子弁別に応用できないか、検討していく。 5.昨年度に引き続き、トリガー回路系の整備を進めている。試作機を用いて小型プロトタイプ検出器に適用し、それに基づいたシミュレーション研究を行っている。
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