現在大阪大学では、^<48>Caの二重ベータ崩壊測定を目的としてフッ化カルシウム(CaF_2)シンチレータを用いたCANDLES III実験装置が建設中である。本研究では、この装置を暗黒物質探索(DMS)にも適用可能にすべく改良を目指している。本年行った研究は以下のとおりである。 1.昨年度に引き続き、シンチレータの消光係数の測定を行った。大阪大学大学院工学研究科のOKTAVIANからの中性子ビームを用いて実験を行った。昨年度の実験で測定に難のあった低エネルギー領域での測定を目指して回路系の改良を行い、大統計の測定を行った。現在結果の取り纏め中である。 2.昨年度光電子増倍管の最適配置を行ったが、低エネルギー領域における最大の雑音源は光電子増倍管中に含まれる放射性不純物であり、そのために光電子増倍管はある程度距離を持って配置せざるを得なかった。これを補償すべく、また低エネルギー領域におけるS/N比の向上(信号波形情報によるn/γの弁別など)のために、集光効率の更なる向上に取り組んだ。具体的には反射率の高い鏡面反射材を用いて入射角が大角度になるよう(反射回数がなるべく少なくなるよう)配置することにより反射面での光のロスを最小にするライトガイドの開発を行った。 (1)いくつかの鏡面反射材の反射率を測定し、最適な材料を選別した。またその測定値を用いて、昨年度までに開発した光の伝播シミュレータを用いてライトガイド形状と集光効率の関係を求めた。 (2)上記の結果を実験的に検証するため、1ヶのフッ化カルシウム結晶(波長変換剤含む)からのシンチレーション光を6方向に配置した光電子増倍管で検出する小型のプロトタイプ測定装置を設計・製作した。この装置内に様々な形状・長さのライトガイドを設置し、実験的検証を進めてきた。
|