研究課題/領域番号 |
15340080
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
野呂 哲夫 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (30164750)
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研究分担者 |
相良 健至 九州大学, 大学院理学研究院, 教授 (00128026)
坂口 治隆 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (30025465)
畑中 吉治 大阪大学, 核物理研究センター, 教授 (50144530)
若狭 智嗣 九州大学, 大学院理学研究院, 助教授 (10311771)
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研究期間 (年度) |
2003 – 2005
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キーワード | 陽子準弾性散乱 / 媒質効果 / 偏極 / 相対論的効果 |
研究概要 |
本研究は、ペテルスブルグ原子核研究所(ロシア)での1GeV陽子準弾性散乱に関する国際共同実験を中心に、これと相補的になる阪大核物理研究センターでの400MeVでの実験とシュテルンボッシュ大学(南ア)のHillhouse博士との理論面での共同研究とを並行して行う形で遂行された。(Hillhouse博士は2004年度にはこの科研費によって、2005年度には日本学術振興会の長期招聘研究者として、それぞれ2-4か月日本に滞在)研究の大きな狙いは、原子核内のハドロンレベルでの媒質効果のひとつであるDirac相対論的効果の検証である。 ロシアでの実験は2度に分けられて実施し、主としてp殻核である160と、sd閉殻核である40Caを標的とした。前者においては実験装置準備の都合上、微分断面積のみの測定を行い、後者では微分断面積に加えて反応放出陽子の偏極量(P)の測定をも行った。 中間エネルギーでの陽子準弾性散乱の偏極分解能(Ay)が減少する事実は以前より知られていたが、我々のグループでは、1GeVのデータと400MeVの高精度データを取得し、初めて広いエネルギー範囲にわたる定量的比較を行った。その結果、AyやPは両エネルギーにおいて定量的にも同程度の減少率を示し、多段階過程の寄与等、複雑な核反応過程の混入によるものではないことを明らかにした。また、多種の原子核を標的としたデータから、この減少は反応のQ値と単調関数の関係になっていることも実験的に明らかにした。また、この現象は今のところ非相対論的枠組みでは説明できず、何らかの媒質効果の存在を強く示唆するものとされているが、Dirac相対論的効果のみではこの減少の度合いの50%程度しか説明できず、更に交換中間子に対する媒質効果の存在等を考慮に入れる必要性が出てきている。
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