研究課題
本研究では、超高圧下におけるカリウム40の崩壊定数変化を原子核物理学、天体核物理学、地球科学の興味から進めている。半減期1.28×10^9年のカリウム40は自然界に0.0117%存在し、コンクリートの壁等に多く含まれているため、実験に際してこの自然放射線を除去することが重要である。バックグラウンドガンマ線のシールド方法として、ガンマ線の位置検出可能なコンプトンカメラを用いた新しい試みを行った。このコンプトンカメラは理化学研究所のマルチトレーサーグループにより、医療診断用として開発中である。カリウム40線源以外の位置からきたガンマ線を取り除く解析を行うことで、検出器の周囲を約4.7cmの厚さの鉛でシールドした場合と同様の効果が得られることが確認できた。しかし、検出効率がクローバー型ゲルマニウム検出器2台を使用した場合と比較して5桁落ちとなるため、今回は、従来通りの鉛ブロックでシールドする方法を採用することにした。実験は理化学研究所の加速器基盤研究部に所属するプレハブ実験室で行っている。バックグラウンドガンマ線量は、コンクリート壁ではないプレハブ建造物内であるため、昨年度に九州大学タンデム加速器実験室で測定した場合の1/3まで減少している。崩壊定数変化を10^<-3>で測定するためには十分な統計量が必要である。当初の予定より、カリウム40の濃度が6.5%と低いため、改良した焼結ダイヤモンド・アンビルセルを用いて、アンビル内にセット可能な試料の量を増やし、更に、ガンマ線測定のためのゲルマニウム検出器(クローバー型ゲルマニウム検出器2台+50%ゲルマニウム検出器)を3台に増強した。現在、超高圧下のカリウム40の寿命の測定の本実験を実施中である。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
西日本工業大学紀要 理工学編 35(発表予定)
日本物理学会講演概要集 2004年秋季大会 59・2
ページ: 42
第110回日本物理学会 九州支部例会予稿集
ページ: 135