研究概要 |
今年度は、マグネティックカロリメータ素子の製作、物性測定をまず行った。金に微量のErを溶融し、小片にしてRF-SQUIDによって磁化測定を行った。数gの材料において、目標の1000ppmレベルになっていることを確認した。20mg程度に分割した際のムラはfactor 2程度であった。 また、マグネティックカロリメータを冷凍機中で駆動させるために、DC-SQUIDの設置、磁場印加用のコイルの作成を行った。目標の数mTの磁場をかけること、またその環境下でSQUIDの動作をさせることに成功した。 そこで、希釈冷凍機中に、0.2mgに切断したマグネティックカロリーメータ素子、Nb-Ti線によるピックアップコイル、SQUIDを設置し、241Amによる5.5MeV α線の照射実験を行った。80mK,100mK,120mKに冷却し、放射線からのパルスを検出することができた。これが照射によるパルスであることは、磁場の向きで信号出力が反転すること、線源を取り除くとパルスが出ないことなどから確実であり、日本初のパルスであることから、論文として投稿中である。ただ、予想よりも波高値がかなり小さく、この原因としては、Er濃度の不均一性によるものではないかと考えられる。今後素子製作方法の改善を行い、さらに実験を重ねる予定である。 観測的研究としては、銀河間物質からの酸素輝線の検出可能性について、数値シミュレーションによる解析を行い、論文にまとめた。またXMM-Newtonによるクェーサーの吸収線の観測により、マージナルではあるが、銀河間物質の存在の証拠を検出し、論文にまとめている。
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