研究課題
この研究は、ラジウム同位体イオンを固体水素薄膜に照射し、不安定核のミュオン原子を作ることを提案するものである。今年度、イオン源として表面電離型イオン源が採用された新しいシステムでの実験に向けて、まず、そのイオン源やビーム光学系などシステムの最適化が図られた。最適化は、京都大学原子炉実験所において、バリウムの安定同位体により行われた。バリウムはラジウムと同族であり、同程度のイオン化エネルギーを持つため、ラジウムでの実験に向けた調整等には最適であり、また、不安定核であるラジウムに対する実験を行う際にも、イオン源のアイオナイザー内部に、安定同位体バリウムをマーカーとして混入しておけば、このマーカーで調整や最適化を行った後、そのまま、不安定核イオンへの切り替えができるので、効率的な実験が可能となる。その結果、想定される焦点位置において、数ミリメートルのビーム・スポットサイズで、約1マイクロアンペアのバリウムイオンビームの生成が観測されるとともに、数時間にわたり安定したビーム強度が得られ、実験上必要とされる条件を十分に満たしていることが確認された。そして、平成18年1月、英国・ラザフォードアップルトン研究所(RAL)のRIKEN-RALミュオン施設の装置に、この新システムが設置された。今後、ラジウムを用いた実験に向け、まず、バリウム同位体イオンを固体水素薄膜に照射し、バリウムミューオン原子の生成実験などを行う予定である。
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