研究概要 |
1)p型ZnSe/Be(Mn)Te量子井戸構造の作製 MBE法により、Be(Mn)Te層にNをドープしたZnSe/Be(Mn)Te:Nおよびp型BeMnTeバルク薄膜を作製した。キャリヤ誘起の強磁性発現に必要なキャリヤ密度に相当する10^<18>から10^<19>cm^<-3>の正孔キャリヤ密度が室温から2Kの温度範囲で得られた。 2)ZnSe/Be(Mn)Te量子井戸界面の断面構造解析 タイプII量子井戸構造では電子と正孔の再結合は界面で起こるので、キャリヤの寿命、波動関数の重なりの程度が界面状態に強く依存することになる。走査トンネル顕微鏡を用いて多重量子井戸構造のヘテロ界面の急峻性、合金化について調べた。ZnSe/BeTe界面の約2原子層近傍にZn-Te、Be-Seの結合が存在し、BeZnSeTeの4元混晶領域が形成されていることが初めてわかった。この遷移領域の組成は(ZnTe)_<0.52>(BeSe)_<0.42>である。 3)異常ホール効果と強磁性転移の観測 p型Be_<1-x>Mn_xTe(x=0.05,0.1)の異常ホール効果を測定し、10K以下で強磁性となることがわかった。さらに、負の磁気抵抗効果とそのヒステリシスがこの物質系で初めて観測され、強磁性発現が確認された。この負の磁気抵抗効果は束縛磁気ポーラロンが磁場の印加によって自由キャリヤになることに依ることが、強磁場下のホール効果測定からも明らかになった。 4)ZnSe/Be(Mn)Te量子井戸構造の発光 ZnSe/Be(Mn)Te量子井戸構造の発光スペクトルに対する電場、磁場効果を調べ、タイプII量子井戸の界面発光が電場によって抑制・増強されることがわかった。しかし、Nを高ドープした量子井戸では界面構造の揺らぎなどにより鋭い発光帯を観測することができなかった。
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