研究課題/領域番号 |
15340102
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
中山 正昭 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30172480)
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研究分担者 |
溝口 幸司 大阪市立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10202342)
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キーワード | GaAs / AlAs多重量子井戸 / 量子サイズ効果 / 励起子量子ビート / コヒーレントLOフォノン / ポンプ・プローブ分光 / フェムト秒パルスレーザー / テラヘルツ電磁波発生 / フォノン増幅 |
研究概要 |
多様な層厚のGaAs/AlAs多重量子井戸構造(分子線エピタキシー成長)を試料として、フェムト秒ポンプ・プローブ分光法による励起子量子ビートとコヒーレントLOフォノンに関する時間領域コヒーレント振動の系統的な測定、及び、フェムト秒レーザー励起によるコヒーレントLOフォノンからのテラヘルツ(THz)電磁波発生に関する測定(光ゲーティング法による時間領域測定)を行い、以下の研究成果を得た。 (1)これまでの研究において、多重量子井戸構造における量子サイズ効果と量子シュタルク効果を利用して、電子・重い正孔(HH)・軽い正孔(LH)サブバンドエネルギーを制御して励起子量子ビートエネルギーをGaAs型LOフォノンエネルギーにチューニングすることにより、励起子量子ビートがコヒーレントLOフォノンと結合し、それによりコヒーレントLOフォノンが増幅されることを明らかにしてきた。そのさらなる展開として、ダブルパルス励起(パルス間隔:100〜210fs)によるポンプ・プローブ実験を行った。その結果、ダブルパルス励起によりHH1-LH1励起子量子ビートとコヒーレントLOフォノンの結合モードが制御できることを明らかにした。 (2)GaAs/AlAs多重量子井戸構造におけるコヒーレントLOフォノンからのTHz電磁波発生を、世界に先駆けて検出することに成功した。検出されたTHz電磁波は、従来のバルク半導体と比較して100倍程度強く、単色性が非常に優れていることを明らかにした。また、コヒーレントLOフォノンからのTHz電磁波放射は、ポンプ光エネルギーの励起子共鳴によって増強されることを見出した。この結果は、コヒーレントLOフォノンからのTHz電磁波放射において、励起子-LOフォノン相互作用(フレーリッヒ相互作用)が重要な役割を果たしていることを示している。 (3)本研究の成果を総括し、かつアピールするために、「固体物理」誌に解説を投稿した(H18年4月号に掲載予定)。
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