研究課題/領域番号 |
15340109
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
廣田 和馬 東京大学, 物性研究所, 助教授 (90272012)
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研究分担者 |
木村 宏之 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (50312658)
阿曽 尚文 東京大学, 物性研究所, 助手 (40313118)
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キーワード | 高温超伝導 / La_<2-x>Sr_XCuO_4 / 中性子散乱 / 1次元的スピン変調 / Dewtinning / スピンダイナミクス |
研究概要 |
高温超伝導体の母物質であるLa_2CuO_4の局在Cu^<2+>スピン系は、S=1/2の2次元正方格子量子ハイゼンベルグ反強磁性体として扱われてきた。しかし、近年の中性子散乱研究により高温超伝導体の典型物質であるLa_<2-x>Sr_xCuO_4の低ホールドープ領域で1次元的スピン変調が発見され、「2次元等方的スピン」という描像が必ずしも正確ではないことが明らかとなった。本研究では、結晶全体にわたって軸方向を揃える(detwin)ことが高い精度で可能であるLa_2CuO_4と低ホールドープ領域のLa_<2-x>Sr_xCuO_4を用いて中性子散乱研究を行うことを目的とする。 本年度は、高エネルギーX線回折装置とCCDカメラを用いて、ドメイン制御した多数の単結晶を正確に効率良く配列することにより、実効的な体積を大幅に高めるための手法の開発に着手した。50-150keVの範囲のX線に対して数種類のカメラをテストし、十分な耐久性と感度をもつGdO_2シンチレーターとImage IntensifierからなるCCDカメラを採用した。また、効率よく結晶方位を決定するためにコンピューター制御可能な小型の3軸ゴニオメーターを制作した。現在、LabVIEWを用いて全体を制御するためのシステムを開発している。 また、中性子散乱では、Detwinを行った小型のLa_2CuO_4を用いて予備的な中性子散乱実験を開始した。反強磁性転移温度T_N=305K以下から450K付近までの広い温度範囲においてエネルギー積分をした状態で磁気相関距離の面内異方性を測定した。帯磁率には明確に異方性が現れているにも関わらず、相関距離は高い精度で一致し、等方的な磁気相関をもっていることが示唆される結果を得た。
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