研究課題
本研究は、ドメイン制御したLa_<2-x>Sr_xCuO_4(LSCO)とBi_2Sr_<2-x>La_xCuO_6(Bi2201)単結晶試料のスピンダイナミクスの研究を行い、反強磁性スピンダイナミクスに対する1次元的スピン変調の効果と、LSCOとBi2201に共通する性質が何かを明らかにすることを目的としている。今年度よりさらにBi_2Sr_2CaCu_2O_8(Bi2212)に関する研究にも着手した。ドメイン制御した単結晶は大型化が不可能なため、複数の結晶を整列させて実効体積を増加させる必要がある。昨年度開発した中性子シンチレーターと高感度冷却CCDを組み合わせた中性子カメラを用いて、6枚のBi2212単結晶を2枚のアルミニウム板に高い精度で配列させ、3.46g(0.53cc)の体積を得ることに成功した。これは過去の代表的な研究例で用いられた体積のおよそ8倍に相当する。これら整列させた単結晶を用いて、日米科学技術協力「中性子散乱」を通じ、米国オークリッジ国立研究所のHFIR研究炉において、磁気励起およびレゾナンスピークの探索を開始した。La_<2-x>Sr_xCuO_4にZnおよびNi不純物を少量ドープした系の系統的な非弾性散乱研究の結果がまとまった。Zn不純物の場合、スピンダイナミクス全体は変化せず、スピンギャップ内に新しい状態が現れるのに対し、Ni不純物ではスピンダイナミクスがT_cの低下にともなって低エネルギー方向にrenormalizeされることが分かった。ZnやNi不純物では3dと酸素2p軌道の混成状態がCuと異なるため、磁性だけではなく電子構造にも影響を与えることが懸念される。そこで、今年度より、3d軌道をもたない非磁性不純物Mgをドープした系の結晶育成を開始した。
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