研究課題/領域番号 |
15340112
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
十倉 好紀 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (30143382)
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研究分担者 |
宮坂 茂樹 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (70345106)
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キーワード | 磁気カイラル効果 / 時間・空間反転対称性の破れ / スピン軌道相互作用 / X線共鳴散乱 / トロイダル・モーメント / GaFeO_3 / Fe_3O_4 |
研究概要 |
通常のファラデー効果とは異なり、無偏光においても光の進行方向により光学応答が異なる新しい磁気光学効果"磁気カイラル効果"を開拓し、そのメカニズムを解明することが本研究の目的である。磁気カイラル効果の候補物質として、空間・時間反転対称性がともに破れている(自発磁化と自発電気分極を有する)フェリ磁性体GaFeO_3と、局所的な空間反転対称性の破れを有するFe_3O_4等に着目し研究を推進している。 フェリ磁性体GaFleO_3において、磁性と電気分極を同時に担うFe元素に共鳴条件を合わせたX線共鳴磁気散乱の測定も行い、共鳴端付近に磁気カイラル効果に由来する散乱信号を観測した。この散乱信号が電気分極や磁化の変化に相関することから、トロイダル・モーメントの寄与を確認した。X線共鳴散乱による磁気カイラル効果の測定の長所は、散乱位相を利用することにより原子散乱因子の個々の成分(電荷、軌道、スピン、トロイダル・モーメントに起因した成分)を分離・決定できることである。X線散乱の指数とスピン超格子構造の相関関係の考察から、トロイダル・モーメントに起因したX線散乱成分を同定することにも成功した。さらに、量子論的な考察から空間反転対称性の破れによって3d軌道の励起状態への電気双極子・4重極子遷移がともに許容になり、励起状態間のスピン・軌道相互作用による混成が磁気カイラル効果に重要な役割を果たしていることを明らかにした。さらにX線共鳴散乱において、各サイトの散乱因子間の散乱位相差を利用することで、結晶構造的には空間反転対称性を有する物質においても、局所的に反転対称性が破れていれば、磁気カイラル効果を検出できる。そこで現在検証のため、Fe_3O_4を始めとして様々な物質系においても探索を進めている。
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