研究課題/領域番号 |
15340113
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
福山 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (00181298)
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研究分担者 |
神原 浩 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00313198)
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キーワード | 量子液体 / 強相関 / 低次元系 / フェルミ液体 / 核磁気共鳴 / フラストレーション / 超流動 / 核磁性 |
研究概要 |
グラファイト基板表面を高密度のヘリウム4(^4He)単原子層でコートした上にヘリウム3(^3He)単原子層を吸着させることで理想的な2次元強相関フェルミオン系を実現し、その量子物性を広い密度(1【less than or equal】ρ【less than or equal】10nm^<-2>)および温度範囲(70μK【less than or equal】T【less than or equal】300mK)にわたる比熱と核磁気共鳴(NMR)測定から詳細に調べた。その結果、従来相分離(2相共存)域と考えられていた4/7整合相の密度(ρ_<4/7>=6.9nm^<-2>)の直下で、スピン自由度に起因する緩やかな低温の熱容量ピーク(T【approximately equal】1mK)と運動の運動と密接な関係があると思われる緩やかな高温のピーク(T【approximately equal】30mK)の二つが共存する新しい量子相が存在することを発見した。我々は、これをモット局在相(4/7整合相)にホール(零点空格子)がドープされた新しい量子流体相とする考えを示し、銅酸化物高温超伝導物質の異常金属相とも関連した2次元強相関フェルミオン系特有の新現象として捉えることを提案した。NMR測定からもこのシナリオを支持する帯磁率の温度および密度依存性が観測された。また、ρ_<4/7>【less than or equal】ρ【less than or equal】8.4nm^<-2>の密度域にもこれとは性質の異なる別の新たな量子相が存在し、それ以上の高密度域(少なくとも10nm^<-2>まで)ではその量子相と強磁性相が2相共存することも判明した。 なお、本実験は当初吸着基板としてZYXグラファイトを用いて開始したが、研究の過程で従来のグラフォイル基板でも表面をボソンである^4Heでプレコートすることで十分に質の高い2次元物性測定ができることが判明したので、それ以降はより比表面積が大きく測定精度が上がるグラフォイル基板を使って研究した。
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