研究課題/領域番号 |
15340126
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
松下 貢 中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)
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研究分担者 |
松山 東平 新潟大学, 医学部, 助教授 (00047200)
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キーワード | パターン形成 / 周期的成長 / 同心円状パターン / バクテリアコロニー / 結晶成長 / 枯草菌 / 霊菌 / アスコルビン酸 |
研究概要 |
本研究では、点状の初期状態から出発し、周期的に成長することによって得られる同心円状パターンに注目している。具体的には、バクテリアコロニーと結晶成長で見られる同心円状パターンに絞って、その成長機構の解明を目標とする。 バクテリアでは、枯草菌とプロテウス菌は遊走期と停止期とを交互に繰り返して同心円状コロニーを形成する。これについては、これまでの我々のプロテウス菌についての研究によって得られた「遊走期の開始と停止期の開始にそれぞれバクテリアの細胞密度の高低の閾値がある」という実験的な仮説が、枯草菌の場合についても妥当かどうかを詳しい観察と測定によって調べた。その結果は、枯草菌の場合もプロテウス菌とほぼ同様な結論であった。この仮説が正しいとすれば、他のバクテリアでも適当な条件下で同心円状コロニーを形成しても不思議ではない。これを確認することも、今後の目標の一つである。 霊菌では、寒天培地の栄養濃度とその固さを変えたときに得られるコロニーのパターンが枯草菌の場合のそれと幾分違うことが予備実験でわかっていた。そこでまず、これら二つの量をパラメータとして、霊菌のコロニーパターンのモルフォロジー・ダイヤグラムの確立を目指した。それがようやく完了し、枯草菌では見られなかった花びら状パターンが観察される領域があることがわかった。また、霊菌の場合でも同心円状コロニーが成長することがはっきりしたが、成長の様子はプロテウス菌や枯草菌のように、遊走期と停止期がはっきりしていない。今後はこの同心円状コロニーの成長特性を実験的に詳細に測定しなければならない。 結晶成長では、アスコルビン酸の場合に見られる同心円状パターンに注目し、その形成機構の解明を目標にした。まずメタノール溶液中のアスコルビン酸の濃度と周囲の湿度をパラメータにして、その成長の様子を詳しく観察して、モルフォロジー・ダイヤグラムを確立した。次のステップは、特に同心円状成長だけに注目し、その成長特性を明らかにすることである。
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