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2005 年度 実績報告書

周期的成長パターンの形成機構

研究課題

研究課題/領域番号 15340126
研究機関中央大学

研究代表者

松下 貢  中央大学, 理工学部, 教授 (20091746)

研究分担者 松山 東平  新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00047200)
キーワードパターン形成 / 周期的成長 / 同心円状パターン / バクテリアコロニー / 結晶成長 / 枯草菌 / アスコルビン酸
研究概要

本研究では周期的な成長の結果として得られる同心円状パターンに注目し、細菌コロニー形成と結晶成長についてその形成機構を解明すべく、実験を行った。
細菌コロニーについては、枯草菌、プロテウス菌は遊走期と停止期とを交互に繰り返して同心円状コロニーを形成する。我々のこれまでの実験により、枯草菌の同心円状コロニーの形成には次のような著しい特徴があることがわかった:1.中心からの大局的な化学信号は存在しない。2.マクロなスケールで周期的成長に関する位相の引き込みは起こっていない。3.最も外側のテラスの形成がコロニー成長に大きく寄与している。4.菌を接種してからコロニーが成長し始めるまでの準備期間は、接種した菌の密度がある程度以下になると長くなる傾向がある。5.最も外側のテラスが拡がっている遊走期では、そのテラスはバクテリア細胞の単層からなる。拡がりがとまって停止期に入ると、増殖によりテラスの厚さはどんどん増える。ある程度の厚さに達すると、次の遊走期が始まる。6.遊走期が始まった後に成長先端のすぐ後方を切断すると、その後の1回目の遊走期がより早く終了し、次の停止期が延長される。以上の実験事実は、周期的なコロニー形成には細菌の集団的な振舞いが大きく関与していることを強く示唆している。少なくとも現象論的には次のようなことが結論されるであろう:(1)コロニー成長にとって最も外側のテラスの菌密度が重要な要素である。(2)菌密度には2つの閾値が存在し、停止期は菌の密度がある値以下に低下するために起こり、遊走期が始まるためには菌の密度がある値以上に増える必要がある。今後はこの仮説をよりミクロの立場から確認することが課題である。
周期的な結晶成長の例としてはアスコルビン酸を取り上げた。この場合に見られる同心円状パターンに注目し、その形成機構を解明することを一つの目標にした。そのために、メタノール溶液中のアスコルビン酸の温度と周囲の湿度をパラメータにして、その成長の様子を詳しく観察して、モルフォロジー・ダイヤグラムを確立した。その結果、周囲の湿度が成長パターンの選択に最も重要な役割を果たしていることがわかった。今後はこの結果を基により詳細な成長の観察が必要である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2005

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Periodic Growth of Bacterial Colonies2005

    • 著者名/発表者名
      Yoshihiro Yamazaki
    • 雑誌名

      Physica D Vol.205

      ページ: 136-153

    • 説明
      「研究成果報告書概要(和文)」より
  • [雑誌論文] Various Expanding Patterns Produced by a Structured Cell Population of Serratia marcescens Responding Varied Medium Conditions2005

    • 著者名/発表者名
      Fumiko Hiramatsu
    • 雑誌名

      Microbes and Environments Vol.20, No.2

      ページ: 120-125

  • [雑誌論文] Extended Dynamic Scaling for Growing Interfaces2005

    • 著者名/発表者名
      Naoki Kobayashi
    • 雑誌名

      J.Phys.Soc.Jpn. Vol.74, No.10

      ページ: 2712-2715

  • [雑誌論文] バクテリアのコロニー形成-実験とモデル化-2005

    • 著者名/発表者名
      松下 貢
    • 雑誌名

      京都大学・数理解析研究所講究録 Vol.1453

      ページ: 85-100

  • [図書] 生物にみられるパターンとその起源2005

    • 著者名/発表者名
      松下 貢
    • 総ページ数
      195
    • 出版者
      東京大学出版会

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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