研究課題
基盤研究(B)
本研究では周期的な成長の結果として得られる同心円状パターンに注目し、細菌コロニー形成と結晶成長についてその形成機構を解明すべく、実験を行った。細菌は遊走期と停止期とを交互に繰り返して同心円状コロニーを形成する。本研究により、枯草菌の同心円状コロニーの形成には次のような著しい特徴があることがわかった:1.中心からの大局的な化学信号は存在しない。2.マクロなスケールで周期的成長に関する位相の引き込みは起こっていない。3.最も外側のテラスの形成がコロニー成長に大きく寄与している。4.菌を接種してからコロニーが成長し始めるまでの準備期間は、接種した菌の密度がある程度以下になると長くなる傾向がある。5.最も外側のテラスが拡がっている遊走期では、そのテラスはバクテリア細胞の単層からなる。拡がりがとまって停止期に入ると、増殖によりテラスの厚さはどんどん増える。ある程度の厚さに達すると、次の遊走期が始まる。6.遊走期が始まった後に成長先端のすぐ後方を切断すると、その後の1回目の遊走期がより早く終了し、次の停止期が延長される。以上の実験事実から現象論的には次のことが結論される:1.コロニー成長にとって最も外側のテラスの菌密度が重要な要素である。2.菌密度には2つの閾値が存在し、遊走期が始まるためには菌の密度がある値以上に増える必要があり、停止期は菌の密度がある値以下に低下するために起こる。今後はこの仮説をよりミクロの立場から確認することが課題である。この研究の過程で、霊菌と大腸菌も適当な条件下で同心円状コロニーを形成することを発見した。周期的な結晶成長の例としてはアスコルビン酸を取り上げ、その場合の同心円状パターンの形成機構を解明することを一つの目標にした。そのために、メタノール溶液中のアスコルビン酸の濃度および温度と周囲の湿度をパラメータにし、その成長の様子を詳しく観察して、モルフォロジー・ダイヤグラムを確立した。その結果、周囲の湿度が成長パターンの選択に最も重要な要素であることがわかった。
すべて 2006 2005 2004 2003
すべて 雑誌論文 (22件) 図書 (1件)
Prog.Theor.Phys.Suppl. (to be published in)
京都大学・数理解析研究所講究録 Vol.1413
ページ: 211-219
ページ: 220-230
Microbes and Environments Vol.20,No.2
ページ: 120-125
Physica D Vol.205
ページ: 136-153
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.74,No.10
ページ: 2712-2715
京都大学・数理解析研究所講究録 Vol.1453
ページ: 85-100
J.Phys.Soc.Jpn. Vol.74,No.10
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.73,No.2
ページ: 300-302
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.73,No.4
ページ: 1082-1089
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.73,No.8
ページ: 2112-2116
Biofilms Vol.1
ページ: 305-317
J.Phys.Soc.Jpn. Vol.73,No.2
J.Phys.Soc.Jpn. Vol.73,No.4
J.Phys.Soc.Jpn. Vol.73,No.8
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.72,No.4
ページ: 970-971
J. Phys. Soc. Jpn. Vol.72,No.6
ページ: 1384-1389
J.Phys.Soc.Jpn. Vol.72,No.4
J.Phys.Soc.Jpn. Vol.72,No.6