研究概要 |
装置1:高速イオンビームを用いる実験 ・清浄な標的表面を得るために,排気系を油拡散ポンプからターボ分子ポンプに切り換えた。ゴニオメータを設計・製作し,真空中で標的の交換や位置の微調ができるようにした。 ・半球型の角度積分型エネルギー分析器(阻止法)を製作した。2次電子の全エネルギー分布曲線をAl標的、およびMo標的に対して計測を行った。分布曲線の表面酸素被覆率依存性を測定したが、しきい値付近のS/N比を改善する必要がある。 ・飛行時間差質量分析器を試作し、スパッタリングで生成されたO^-原子の検出に成功した。電子のスペクトルとO^-スペクトルとの時間間隔が、表面酸素被覆率の関数として、微妙に変化することを見出した。大変興味深い現象であるが、追加実験による検証が必要である。 ・衝撃を受けたAl, Si,などの表面からスパッタされた励起原子からの発光スペクトルは、入射ビーム軸に垂直な方向から、分光器により測定可能な状況になった。(標的位置は可動)。 装置2:多価イオンビームを用いる実験 小型多価イオン源からの多価イオンビームを、Al, Al_2O_3やSiC, GaN表面に対して、約0.5度の「すれすれ入射角」で相互作用をさせ、ポテンシャルスパッタリングで生成される2次イオンの運動量分布を画像分光法で測定するための装置を製作した。運動量画像分光検出器は、正イオンはもとより、負イオンや2次電子のスペクトルも測定可能である。2次イオンの3次元的な運動量分布、スパッタされた直後の初期運動エネルギー分布を求めることができる。AlやSiC、GaNなどについて予備的な実験を行った。得られた成果の部は、国際会議(ICPEAC,2003)、国内学会(日本物理学会、応用物理学会などで公表された。
|