研究課題/領域番号 |
15340128
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
鶴淵 誠二 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 教授 (60028248)
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研究分担者 |
本橋 健次 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助手 (50251583)
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キーワード | 二次電子 / 二次イオン / 表面酸素被覆率 / TOF質量分析 / 多価イオン / ポテンシャル放出 / 運動量画像 / 表面分析 |
研究概要 |
1.高速イオンビーム 酸素被覆表面から放出された二次電子および二次イオンの運動エネルギーを表面酸素被覆率θの関数として、これら二次粒子の放出過程とそれが吸着酸素原子から受ける影響について測定した。放出二次電子の運動エネルギー分布測定には、阻止電場式半球状積分型エネルギー分析器を用いた。標的からの二次電子収量と標的の仕事関数の変化を表面酸素被覆率θの関数として測定することができた。また放出二次イオンは飛行時間差型質量分析器(TOF-MS)を用いて測定した。実験から得られた結果はイオンや電子と固体表面、吸着酸素原子の相互作用を反映したものであり、特に酸素被覆による標的表面の電子状態の変化が放出二次粒子にたいして、大きな影響を与えていることがわかった。 2.多価イオンビーム 小型電子衝撃型多価イオン源により生成したAr多価イオンを固体標的表面に「すれすれ角入射」させ、運動量の影響を取り除いた「ポテンシャル放出過程」を捉えることで相互作用の解明を試みた。飛行時間差型質量分析器で放出イオン種の特定と運動量の測定を行うと共に、位置敏感検出器と組み合わせて三次元運動量画像分光を行った。今年度は質量スペクトルの分解能を向上させるため装置の改良を行い、主として窒化ガリウム(GaN)標的を取り上げた。この半導体は気相成長下ではC軸配向性を持つが、この面極性を定量的に判定する手法が確立していない。多価イオンをプローブとして用いた表面第一層の選択的スパッタリングによる新しい面極性判定法の提案を目指して実験を行った。その結果、+C軸面からGa^+の二次イオンスペクトルが観測された。また、三次元運動量画像分光から、極性によって表面に吸着していたH^+の初期放出運動エネルギーに差異が見られた。これらの結果から多価イオン入射によるGaN面極性判定が可能であると結論した。
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