本年度の主な研究成果は以下のとおりである。 (1)原子間相互作用を斥力にした状態でボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)に渦を作った後に、相互作用を引力にしたときに量子渦がどのように崩壊するかを調べた。特に渦度が2以上の場合について調べ、BECが小片に分裂した後に崩壊するなどの現象を見出した。 (2)BECは通常、トラップポテンシャルに閉じ込められた状態で生成される。このため、集団モードなどのBECの基本的な性質は主としてトラップの周波数によって規定され、相互作用の効果はそれに対する補正として現れていた。我々はトラップポテンシャルが存在しなくても、BECが自らの相互作用で凝縮する可能性について研究してきたが、今回、フェッシュバッハ効果により相互作用の強さを時間的に振動させることによりそのようなBEC dropletができることを見出した。これは、超流動状態の気体相における初めての自己束縛系である。
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