研究概要 |
本計画は次の三点の実現を目的としている。 1、125THz(振動)、及び10THz(回転)の超高周波分子変調器(媒質を構成するすべての分子がコヒーレントに振動、回転する最大コヒーレンス状態)を実現すること。 2、それをベースに真空紫外〜赤外(〜70,000cm^<-1>=〜2.1PHz)にわたる超広帯域の変調サイドバンド光を高効率に発生させること。 3、発生した超広帯域サイドバンド光に対して周波数位相制御をおこなうことで、紫外域を中心とした1フェムト秒(1fs=10^<-15>s)をきる超短パルス光の発生及び検出をおこなうこと。 分子変調器(最大コヒーレンス状態)は、単一周波数化した二波長のナノ秒ロングパルスレーザーを用いて、分子のラマン遷移を断熱的(数百MHzの非共鳴)に時間発展させることで実現可能である。ひとたび最大コヒーレンス状態が実現されると、効率の良い広帯域サイドバンド光の発生が1フェーズスリップ長内でおこり、結果としてサイドバンド光は「位相整合の制約を受けずに」励起レーザー光と同軸に発生する。 本年度は、3年計画の初年度で、上記1、2の基本的な部分を実施し以下の成果を得た。 1、14-20Kの低温で生成したパラ水素を媒質として、v=1←0の振動遷移間のコヒーレンスを理論限界(0.5)に近いところ(〜0.3)まで引き上げる励起条件を確定した。 2、パラ水素のJ=2←0の回転遷移間に理論限界に近いコヒーレンス(〜0.3)を形成する励起条件を確定した。 3、v=1←0振動遷移、及びJ=2←0回転遷移を同時励起し、振動及び、回転のコヒーレンスを断熱的に立ち上げることを試みた。 4、3で生成した振動一回転最大コヒーレンスを分子変調器として、10THz間隔で赤外から真空紫外近傍の〜1.2PHzにわたる超広帯域サイドバンド光を全て同軸に発生できることを実証した。
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