生体系モデルとしてのソフトマター複合系の秩序形成

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15340138
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 研究機関: お茶の水女子大学
• 研究代表者: 今井 正幸 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (60251485)
• 研究分担者: 浦上 直人 山口大学, 理学部, 講師 (50314795) ; 中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50323861)
• キーワード: 両親媒性分子膜 / 棒状粒子 / 高分子 / 両親媒性高分子 / 枯渇相互作用 / 膜間相互作用 / 曲げ弾性率 / ソフトマター複合系

研究概要

生体系モデルとしても重要と考えられる以下の3つのソフトマター複合糸について、ソフトマター物理の観点から生体系での秩序形成がどの程度理解されるのかを実験・シミュレーション技法を用いて検討した。
1)液晶分子+高分子複合系
ウイルス等の生体棒状粒子と生体高分子混合系が示す極めて低い濃度での秩序形成を枯渇相互作用の観点から明らかにする。平成15年度は、タバコモザイクウイルス(TMV)とポリスチレンスルフォン酸ナトリウム(PSSNa)を用い、枯渇相互作用と添加高分子の慣性半径の関係を光散乱および偏光顕微鏡観察により検討し、また、計算機シミュレーションにより転移濃度の高分子サイズ依存性を明らかにした。
2)界面活性斉亜膜+高分子(コロイド粒子)複合系
界面活性剤がつくる層状膜構造間に高分子(PEO)および球状コロイド粒子(ポリスチレンラテックス)を加えることにより生じる膜間の斥力相互作用を実験的に明らかにし、その結果を枯渇相互作用およびコロイド粒子の排除体積効果から説明できる事を示した。
3)界面活性剤膜+両親媒性ブロック共重合体複合系
界面活性剤がつくる2分子膜に両親媒性ブロック共重合体を埋め込んだ時、膜間相互作用および膜の弾性的挙動にどのような影響を与えるのかを実験的に検討した。非イオン性界面活性剤(C_<12>E_5)と、両親媒性高分子として3元共重合体Pluronicsを用い、マッシュルーム状態での膜間斥力の存在およびマッシュルーム状態からブラシ状態への変化に伴う膜の曲げ弾性率の変化を実験的に明らかにする事に成功した。
また、以上の結果を参考にしてより生体膜系に近いリン脂質膜を用いての複合糸の予備的研究を開始した。

研究成果

• [文献書誌] N.Urakami, M.Imai: "The Dependence of Sphere Size on the Phase Behaviors for the Mixture of Rods and Spheres"J.Chem.Phys.. 119. 2463-2470 (2003)
• [文献書誌] N.Urakami, M.Imai: "The Effect of the Sphere Size on the Phase Behaviors in the Rod and Sphere Mixture System."Journal of Macromolecular Science, Physics edition. 42. 533-543 (2003)
• [文献書誌] M.Imai, T.Teramoto, I.Takahashi, Y.Nishiura: "Effeccts of Guest Hydrophobic Molecule on Stability of Ordered Meso Structure of a Surfactant/Water System"J.Chem.Phys.. 119. 3891-3895 (2003)
• [文献書誌] M.Imai, K.Nakaya, T.Kawakatsu, H.Seto: "Dynamical Nature of Least Stable Fluctuation Modes of Lamellar Structure Observed in a Nonionic Surfactant/Water System"J.Chem.Phys.. 119. 8103-8111 (2003)
• [文献書誌] K.Kaji, K.Nishida, G.Matsuba, T.Kanaya, M.Imai: "Details of Structure Formation During the Induction Period of Spinodal-Type Polymer Crystallization"Journal of Macromolecular Science, Physics edition. 42. 709-715 (2003)