研究分担者 |
日野 亮太 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00241521)
三浦 哲 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70181849)
西野 実 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40322995)
篠原 雅尚 東京大学, 地震研究所, 助教授 (90242172)
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研究概要 |
本研究の目的は,沈み込み型プレート境界にもっとも近い海底における地殻変動観測を実現し,プレート運動のゆらぎとそれと深く関連する非地震性すべりの実態を解明するとともに,そうした海底地殻変動観測の精度評価を行い,観測技術上の問題点を再点検することにある.具体的には,4年間にわたる観測により,1.日本海溝の軸から約100km海側の海底において精密測位観測(観測の再現性:目標4cm)を行い,水平運動速度を求め、太平洋プレート全体の運動からのゆらぎの検知を試みる.2.日本海溝陸側においては,岩手県沖・宮城県沖・福島県沖における水平変動の観測(再現性:目標2cm)に加え,上下変動(再現性:目標2cm)の検出を目指す海底圧力観測や傾斜変動(分解能10^<-8>ラディアン)の長期連続観測を行うことにより,サイレント・アースクエイクを含む非地震性すべりを検知し,その時空間分布の解明を目指す. 平成17年度は、海底の水平変動を観測するために,GPS音響結合方式による海底精密測位観測点を福島県沖に1点新設し,3回の観測を行ったほかに,宮城県沖の2点および岩手県沖の1点において測位観測を行った.宮城県沖では,昨年度の観測結果との差から,プレート運動に伴う上盤プレートの変形を観測することができた.また宮城県沖および福島県沖の観測点周辺において精密海底地形観測を行い,観測点付近の断層地形の分布を初めて明らかにした.海況悪化のため半日程度の観測に終わったが,海溝海側の観測点でも測位観測を行った.17年8月16日にM7.2の宮城県沖地震が発生し,その前後において,宮城県沖と福島県沖で測位観測を行った.しかし観測点は震源域からやや離れているために,予想された地殻変動は小さく,実際,優位な変位は検出できなかった.
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