研究課題/領域番号 |
15340143
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中谷 正生 東京大学, 地震研究所, 助手 (90345174)
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研究分担者 |
飯尾 能久 京都大学, 防災研究所, 助教授 (50159547)
小笠原 宏 立命館大学, 理工学部, 教授 (40213996)
佐野 修 東京大学, 地震研究所, 教授 (20127765)
山内 常生 名古屋大学, 環境科学研究科, 助教授 (80022713)
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キーワード | 地震 / 摩擦 / 温度 / 大深度 / 断層 / 鉱山 / 南アフリカ |
研究概要 |
本年度は、Mponeng鉱山の地下3kmに昨年度掘削した7本のボーリング孔へ全ての温度センサの埋設を完了した。一つの孔につき水晶温度計が1つ、白金温度計が2つずつ埋設されている。各センサの位置は、昨年度の掘削時に収集したビデオ画像と,コアの観察で同定した断層弱面の近傍1m以内を中心に配置した。高精度の水晶温度計のデータは、現地の鉱山関係者の協力によってテレメトリ化を行い、日本でデータが受け取れるようになった。さらに、地震時の落盤等の被害による有線テレメトリの断線に備えて、現場のトンネル環境で使用可能な低電力の無線通信ユニットを開発し、現地テストに成功した。一方、白金式温度計については、アナログ式であり、機器設置場所の温度変化による影響が予想されたので、実験室でその温度ドリフト特性を計測しておいてから現地に設置した。その結果、機器設置場所の温度の影響はほぼ補正できることが実際のデータから確認された。この白金式温度計のデータもテレメトリによって日本でみることができる。 温度データは全て1分ごとにサンプリングされている。計測孔内の温度は約45度程度であるが、1ヶ月に0.1度程度のほぼ線形な低下トレンドを示す。これは、センサから10mほど離れたところにあるアクセス用トンネルが空調によって30-35度に保たれていることの影響と思われるが、坑内温度の長期低下傾向は安定で、トンネル温度の変動の影響は完全に遮断されている。センサから1m離れたところで予想されるM2.5程度の地震が起こったときのセンサ位置で期待される温度変動パターンを現在孔内で計測されているバックグラウンド温度のデータと比べると、仮に断層摩擦強度が室内実験でみられる値の1/10程度と非常に低くとも発熱量が計測できると考えられる。
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