研究概要 |
現代地震学の発展は,STS-Iなどの新たに開発された地震計を擁した地震観測ネットワークに支えられてきた.さらなる地震学の発展には,より高性能な地震計の開発が重要である.STS-Iを越える地震計を実現するために,この研究以前に新しい原理の無定位回転型振り子を使ったサーボ型地震計を開発した.この研究では,開発した地震計を世界最高レベルにするための機器の開発を行なっている. 平成15年度は以下のことを行った. 1)開発した地震計による観測では,10秒以上で気圧変化の影響が確認できた.それを除去し長周期ノイズを低減するために,圧力容器とそれに地震計を挿入する方法を開発した.この圧力容器が内臓できるパーマロイの3重防磁ケースも開発・製作した.この容器は,内部の振り子の固定や錘の重心位置の調整を容器の外部から行うことができ,そのための真空直線導入端子や回転導入端子を備えている. 2)圧力容器を採用した場合,現状で使用している静電容量型の変位センサが使用できなくなる.このために真空対応型のセンサを開発しつつある.センサ本体は基本設計が終了し,回路の開発は終了した.近日中に試験予定である. 3)ラコステ重力計に採用されている,気圧変化に比例した浮力変化による振り子への影響を除去するための浮きと同じ原理の装置を,本地震計に取り付けた.今年度中に,観測により長周期ノイズの軽減効果を評価する予定である. 4)1Hz以上の検出帯域でノイズを減らすために,地震計用の高安定(10^<-6>以下)・低ノイズ(-130dBV以下,1Hz以上)DC電源を開発した. 5)STS地震計と,以上の終了した改良点を加えた地震計の比較観測を行い性能評価を行った.1Hz以上の周波数では,STSと同等以下(10^<-10>(m/s)/Sqrt(Hz))のノイズレベルを得た.
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