研究課題/領域番号 |
15340154
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新野 宏 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90272525)
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研究分担者 |
中村 晃三 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, サブリーダー(研究職) (20143547)
石部 勝 気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部, 研究官
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キーワード | 積乱雲 / 竜巻 / マイクロバースト / ダウンバースト / ドップラーレーダー / シビアストーム / 環境パラメータ / 対流有効位置エネルギー |
研究概要 |
竜巻の発生機構と構造に関しては、基本場の風速分布を維持しながら地表面条件を「滑り無し」としてスーパーセルの数値シミュレーションを行う方策を考案して水平格子70mの計算を行い、地表摩擦が竜巻渦の振る舞いに及ぼす効果を調べた。竜巻渦へ流入する流れは、摩擦をいれない場合は高度200m以下の比較的厚い層で起こるのに対し、摩擦がある場合には回転境界層の形成により高度50m以下の限られた層で起こることがわかった。但し、摩擦を入れることで渦自身の強度は弱まり、渦度のピークが見られたモデル最下層で鉛直渦度は0.55l/s(摩擦なしでは0.85l/s)、気圧偏差は-8hPa(-27hPa)となった。 マイクロバーストの発生機構と構造に関しては、2002年2月に関東平野で発生した多発性マイクロバーストの事例に関する解析を引き続き行ったほか、2003年10月13日に、千葉県・茨城県で発生し、死傷者を出した突風について、この突風をもたらしたメソ低気圧(亜熱帯低気圧)の構造とライフサイクルの解析を行った。この亜熱帯低気圧は沖縄付近にある停滞性の極前線の西端付近で起きた活発な積雲対流と極前線に伴う鉛直渦度の相互作用の結果として生じ、九州の南に北進した後、東に向きを変えて温帯低気圧への遷移を行いながらも、中心付近では激しい対流雲群を伴っていた。突風は、この激しい対流雲群に伴って生じていた。 更に、日本付近のメソスケール対流現象の環境場を把握するために、1990年から1999年までの10年間について日本の高層気象観測点18ヶ所にける環境パラメータとして対流有効位置エネルギー(CAPE)、ショウワルター指数、可降水量、バルクリチャードソン数などの極値、90%値、75%値、中央値などを調べた。これらは、日本付近でマイクロスケールの激しい現象の調査をする上で重要な基礎的データを与えるものである。
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