研究課題/領域番号 |
15340154
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新野 宏 東京大学, 海洋研究所, 教授 (90272525)
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研究分担者 |
伊賀 啓太 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (60292059)
中村 晃三 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター, サブリーダー(研究職) (20143547)
鈴木 修 気象庁気象研究所, 気象衛星・観測システム研究部・第四研究室, 室長 (30354517)
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キーワード | 積乱雲 / 竜巻 / マイクロバースト / ダウンバースト / ドップラーレーダー / メソサイクロン |
研究概要 |
初年度に実施した1977年5月20日にアメリカ・オクラホマ州のデル・シティで発生した竜巻を伴うスーパーセル型積乱雲の環境場の高層観測データを用いて、水平格子間隔70m、鉛直方向45層、領域サイズ66.4km×66.4km×15.1kmの非静水圧準圧縮系のメソ数値モデルで、スーパーセル型積乱雲に伴う竜巻を再現した実験において、竜巻の発生機構を詳しく調べ明らかにした。積乱雲が発生して50分が経つと、水平風の鉛直シアと積乱雲の上昇気流との相互作用で高度2km付近に気圧の低下が生じ、この層の下で上昇流が強化される。これに伴って、60分頃になると高度1.2km付近で、水平渦度の立ち上げとその引き伸ばしにより下層のメソサイクロンが形成され、この回転場により1.2km付近での気圧降下が起こって、更に下層の上昇流を加速し、高度1kmでは40m/sを越える上昇流が形成される。一方、地表面付近にはストームの降水域から流れ出す冷気流と周辺から吹き込む暖湿な気流のぶつかるガスト・フロントが形成されているが、ガスト・フロント上の水平シアに伴う鉛直渦度が丁度この強い下層の上昇流の下に来て引き伸ばされることによって竜巻が発生することが明らかとなった。このことは、スーパーセルに伴う竜巻が、基本的にはlandspoutと呼ばれる局地前線に伴う竜巻に似た機構で発生することを示している。 更に、竜巻のような激しい渦の接線速度の半径分布の成因を調べるための室内実験も行った。従来竜巻内の速度分布は中心核以外では角運動量一定のランキンの複合渦でよく近似されるとされてきたが、遠方で与えられる角運動量と中心で生ずる収束との兼ね合いによっては、ランキン渦から大きくはずれた速度分布を持つ渦も形成される場合もあることが明らかになり、これらの異なった速度分布の生ずる条件を実験的に明らかにし、理論的考察を行った。
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