研究概要 |
領域気候モデルを用いて1ヶ月計算を行ってモデルの再現程度を見始めると共に,領域気候モデル及び全球モデルを用いて大気陸面相互作用の素過程に関する研究も開始した。 まず,モデルの気候状態再現程度を見るために,1998年7月についてアジアのほぼ全域を覆う領域を計算領域に設定し,MM5を用いて1ヶ月積分を行った。計算には格子間隔が54kmと18kmの2つのモデルを2方向ネスティングして用いた。一番外側の境界条件と初期条件はECMWFの解析値から作成した。その結果,前半の降水の様子は実際の経過と似ていたが,後半になるとインドシナ半島でほとんど降水が無くなる事がわかった。その反面,ベンガル湾からインド東部に低圧部が常に計算されて常に南よりの風が計算されるために,バングラデシュ付近は非常に雨量が多くなっていた。土壌水分の再現が悪いためか内部の力学が良くないのか,今後さらに実験を追加して確認する予定である。 大気陸面相互作用の素過程を見るために,季節スケールでの雨を通じた大気と陸面の結合状態について,その比較実験計画にエントリーし世界の他のモデルとの比較を行った。その結果,現状ではモデル間の差および使用する陸面過程スキーム間の差が非常に大きいため,雨や境界層を通じた大気・陸面相互作用を研究するには,まず陸面過程スキームの性能を詳細にチェックしないといけない事がわかった。また,それ以外に,全球陸面水文モデルの100年積分を行ったので,その結果を用いてアジア地域を対象に大気陸面相互作用に関する調査を始めた。
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