研究課題
(1)太陽風加速についてこれまでの研究により、太陽活動極小期において、太陽風の速度(V)は太陽光球面磁場強度(B)とその上空にのびる磁束管の拡大率(f)によって決定されるという観測的な事実を発見し、太陽風加速モデル(V∝B/f)として提唱している。この太陽風加速モデルが太陽活動周期にわたり成立するか否かを見極めるため、今年度は、太陽活動1周期(1995年〜2005年)にわたり解析を行った。その結果、上記の依存性は太陽活動周期にわたり確認されたが、比例係数は変化していることが判明した。これは、太陽表面からのエネルギー供給量、もしくは太陽風粒子へのエネルギー輸送効率が太陽活動度に依存している可能性を示唆する重要な発見である。また、太陽風加速モデルの検証として、用いるコロナ磁場モデルの相違による解析結果への影響を評価した。従来用いていたPotential Field Source Surfaceモデルと、今回新たに導入したCurrent Sheet Source Surfaceモデルによる解析結果を比較したところ、比例係数の相違は見られるものの、依存形はコロナ磁場モデルによらないことが確認された。(2)CMEの形状について解析手法の改良を行い、惑星間空間空間衝撃波の空間構造だけでなく、CMEの本体であるフラックスロープの構造を推定することに成功した。これにより、惑星間空間を伝搬するCMEの全体像を捉えることが可能になった。(3)高性能受信機の開発H18年度からIPS観測用の新アンテナの建設を開始した。新アンテナに設置する受信機の開発を行い、現有装置の性能を上回る低雑音受信機の開発に成功した。
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