研究課題
基盤研究(B)
南海地震は歴史記録によってこれまで100年-200年程度の繰り返し間隔をもって活動してきたことが知られており、世界で最も歴史的活動記録を残している地震である。近年の室戸岬の地形学的研究により、南海地震とは異なり数千年の周期をもつプレート内地震によって室戸岬の隆起地形が形成されたのではないかという仮説が提唱されている。本研究の目的は湖沼堆積物に記録された過去4000年間の津波記録を詳細に調べ、歴史記録より古い地震の再来周期を明らかにするとともに、南海地震にとは異なるプレート内地震の存在を確認することにある。初年度である15年度は、過去の科研費で作製した新型バイブロコアラーを用いて約4.5mの試料を3本採取し、それぞれの試料中の津波堆積物層を対比・同定し、年代測定をおこなった。平常時の淡水性の泥の堆積物には年代測定に使用できる試料が乏しく、津波によって運ばれた砂層中の貝殻片や木片等の年代は再堆積となるため年代値がばらつく。従って、正確な年代を知るためには、何よりも数多く年代測定を行うことが不可欠であり、本研究の予算はほぼすべてを年代測定費用にあてた。2年目である16年度は、約5.5mの試料を採取することに成功し、さらに3本のコア試料中の津波堆積物層を対比・同定し、年代測定をおこなった。その結果、15年度64試料、16年度60試料の合計124試料の年代測定値を得ることができた。得られた年代値からは、南海地震の再来周期はおよそ230年程度であることが明らかになった。また、約2200年前と約3000年前に堆積環境が大きく変化するイベントがあることがわかった。この変化が何を意味しているかは今後の課題ではあるが、周期的におとずれる南海地震以外のイベントを見いだしたことは、価値があると考えられる。
すべて 2004
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Eos, Trans.Amer.Geophys.Union, Fall Meet.Suppl. 85(47)
ページ: T13C-1383