本研究の目的は、河川デルタ堆積系のオート層序学(autostratigraphy)を確立することである。4ヶ年計画の最終年にあたる18年度は、これまでの研究成果を整理し、そのエッセンスを国際誌および国際会議・国内学会で発表することを念頭において、河川デルタ堆積系におけるオート層序学の理解をさらに押し拡げる。具体的には、次のような手順で研究を進展させた。交付される補助金の多くは成果発表と遠隔地での共同研究のための旅費にあてた。 1.河川デルタ堆積系のオート層序学についてのこれまでの知見を2006年5月中旬の地球惑星科学連合2006年合同大会(幕張メッセ)で報告し、国内研究者とのあいだで研究討議と情報交換をおこなった。 2.2007年8月までにオート層序学の基礎論文第一弾の修正原稿をJournal of Sedimentary Research誌へ投稿し、年度内に掲載された(同誌2007年1月号)。 3.2006年6月から11月にかけて、平衡河川が造る三次元デルタ堆積系の生成実験を実施した。この実験によって、平衡状態におかれている河川チャネルはオートサイクリックな側方移動を著しく制約される性質があることが判明した。 4.2006年8月末の第17回国際堆積学会議(福岡国際会議場)、12月中旬のアメリカ地球物理学連合秋季年会(サンフランシスコ)、2007年3月の日本堆積学会2007年例会(つくば)にて、河川デルタ堆積系の自己組織的過程とそれに由来するオート層序学の理解に関わる研究成果を発表した。18年度実施の実験結果についても報告する。 5.2007年3月、本研究の成果報告書(冊子体)を作成した。
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